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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

三

それは、石の地蔵様は、黒木長者の屋敷内に移させるが、その代り、土地の者が外から自由に出入りをして、拝むことも賽銭や供物を上げることも従来通りにさして貰いたいという条件を容れることになったのでした。

石の地蔵といったところで、時代の付いた御影石で、精々十二三貫目ぐらい、まことに不景気なものですから、雑木林の中から、半町ばかり先の黒木長者の邸内に持って行くことなどは元より物の数でもありません。

邸内といったところで、北側の土蔵の裏木戸のあったところで、一間幅の道が、塀に囲まれて屋敷の中へ食い込んだところですから、邸の外とあまり変りはありません。

そこに移された地蔵様は、急に涎掛けをしたり、香華を供えられたり、たった一日のうちに見違えるように豪勢な様子になりました。やがては雨露を凌ぐ屋根も出来るという話、寄進は言うまでもなく黒木長者で、江戸から宮大工を呼んで明日は積らせるばかりに計画は進んでおりました。

三

悲しいことに黒木長者は、まだこの地蔵の肌――乙女の肌のように滑らかに暖かいという肌――に、触れてみたこともありません。日頃苦虫を噛みつぶしたような顔を、威厳そのもののように心得ている孫右衛門長者は、土地の小百姓や町人の前で、地蔵の肌に手を触れてみるような、不見識なことは出来なかったのです。