Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

二

ガラッ八の八五郎は、

「さア参りましょう、とんだお待たせ申しました」

親分の平次みたいな顔をして女の先に立って行くのを、真物の平次はほほ笑ましい心持で眺めていたのです。

二

日が暮れて初冬の夜は宵ながら更け渡るような心持でした。

「お静、何刻だろう」

「先刻上野の戌刻(八時)が鳴りましたよ」

「八の野郎は少し遅いようだね、間違いがなきゃアいいが」

平次は先刻から取越し苦労ばかりしております。米流の素晴らしい能筆の手紙や、妖艶極まる使いの女、本名を隠した呼出し――などを総合してみると、これは八五郎では荷が勝ちすぎたかも知れない――といった、予感めいた不安にさいなまれていたのでした。

「おや?」

路地へ駆け込んだ人の足音に、お静が立上がるのと、外から戸を引開けるのが一緒でした。

「親分」

「八か。どうしたんだ、泥だらけじゃないか」

「驚いたの何のって、親分、ありゃ狐ですぜ」

「馬鹿だなア、今頃眉に唾を付けたって追っ付くかい」

「ひどい目に逢わせやがって、畜生ッ」

「どうしたんだ。まず、落着いて話せ」

平次はそれでも、八五郎の無事な顔を見ると、ホッとした様子で、お静に目配せして、足を拭かせたり、袷の泥を払ってやったり、どうやらこうやら、八五郎だけの男振りを取戻させました。