Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
二
「今朝死骸を見付けたのは、ここでございました」
源吉は狭い庭の沓脱の上を指しました。一抱えほどの自然石の上は、春の陽に乾いて血潮がベットリ、もう玉虫色に光っているのも不気味です。
「誰が見付けたんだ」
「私で――」
いつの間にやら、新三郎の後ろ、平次の横手に立っていたのは、二十七八の小気のきいた渡り仲間風の男です。
「お前は?」
新三郎の眼は少し厳しく動いて、この男の全部を一瞬に読もうとしました。
「奉公人でございます。藤助と申しまして、ヘエ――」
「…………」
「二十七でございます。生れは下谷で、ヘエ――」
訊きもしない事まで、よくペラペラと饒舌る男です。
「下谷はどこだ」
平次はこの男に好奇心を持った様子で、横から口を出しました。
「二長町の五兵衛店で生れました。町内で訊いて下されば、まだ知ってる者がありましょう」
藤助は一向物にこだわりません。
二
家の中は思いの外小綺麗ですが、浪人生活の不自由さが、畳の古さにも、調度の貧しさにもわかります。それにしては、渡り仲間らしい男を一人給料を出して下男に使っていたのが腑に落ちません。
死骸は検屍前ですが、士分の扱いで、庭に転がしてもおけなかったのでしょう。