Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
六
六
「こんなわけだ、平次。主人丹之丞様は、川崎に泊っておられる。明日、早立ちで、辰刻(八時)か――遅くも巳刻(十時)にはこの御屋敷へ御還りになろう。御留守を預かった石田清左衛門は、御墨付と短刀が紛失しましたとは申上げられない、腹を切る気になったのはそのためだ」
清左衛門は静かに語りおわりました。今死を決した人のようでもない、何となく落着き払った親しみは、この人の人徳というのでしょう。
「危ないことでございました。御墨付と短刀はこの屋敷から出るはずはございません。きっと明日の朝までには捜し出してお目にかけます」
「…………」
平次は安請合いと思われても仕方のないような、気軽な調子でこんな事を言います。
「ところで、その手文庫を拝見さして下さいませんか」
「それは易いことだ」
清左衛門の取出したのを見ると、梨地に菊の花を高蒔絵にした見事な手文庫の、朱の紐を巻いた封は破られて、中を開けると、二三枚の小菊と、見すぼらしい短刀が入っているだけです。
「この偽物の短刀には御心当りはございませんか」
「死んだ寅蔵のかも知れないと思うが、――イヤそんなはずはない。その拵えはひどくなっているが、短刀には見どころがある。