Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
私は自分の力を顧みずに、二度も三度もくり返して読んで貰える探偵小説を、捕物小説の形で書きたいと念願した。滅多に古本屋へ出てこない芸術小説――少なくとも一度読んでしまっても、容易に手離せない程の愛情を持たれる小説が書けたら、私は本当に嬉しい。勿論それは容易のことではない。恐らく――北斎ではないが――百まで生きなければ思う存分なものが書けないだろう。
コナン・ドイルの自叙伝を読むと、あれほどの人でも「私がシャーロック・ホームズを書かなかったら、文壇的にもう少し高く評価されたろう」と書いている。作者自身としては、まことに同情すべき言葉だが、我々読者からいうとシャーロック・ホームズを書かないコナン・ドイルなどは到底考えられず、またドイルの歴史小説や長篇小説などは、そんなに面白いものだとはどうしても思えないのである。
私は――私風情はといった方がいいだろう――銭形平次や池田大助を書いたことを少しも後悔はしていない。反対に、シャーロック・ホームズの愛読者であった父――五十五歳で三十幾年前に死んだ私の父に、私の銭形平次を読んで貰えなかったことが、何よりも口惜しいことだと思っている。