Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
二
「…………」
冗談を言う茂七には取り合わず、新助は本矢に近い頑固な鏃の入った稽古矢を一本選ると、その根の方へ、袂から取出した矢文――小菊へ細々と認めて、一寸幅ほどに畳んだのをキリリと結び付け、手馴れた弓につがえて、ひょうと射ました。
矢はの上を遥かに越えて、その後ろの疎らな木立を抜け、隣の庭――植木屋の松五郎の庭――へと飛んで行きます。それからほんのしばらくの後――。
「もういいんですか、若旦那」
そう言う茂七の声と、植木屋の庭から聞える不気味な悲鳴と一緒でした。
「…………」
新助は何とも知れぬ予感に、サッと顔色を変えます。
「何でしょう? 若旦那」
「…………」
新助は立ち尽しました。の上を越して、隣の庭へ射込んだ矢は、いつでも松五郎の娘のお駒が、間もなく木戸を開けて、「矢が飛んで参りました」――そう言いながら、袂でくるんだように捧げて、新助の手へ渡してくれるのですが、今日はいつまで経ってもお駒の姿は見えません。
そればかりでなく、隣の庭は次第に騒がしくなって、泣き声や、人を呼ぶ千切れ千切れの声までが、筒抜けに聴えて来るのでした。
二
「若旦那」
「行ってみよう、茂七」