Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
ガラッ八の八五郎が、変な野郎と言ったのも道理、顔というのは形ばかり、顎は歪み、鼻は曲り、額から月代かけて凄まじい縦傷がある上、無慙、左の片眼までも潰れているのです。
後ろから跟いて来たのは同じ年輩――といっても、無傷なだけに、こっちの方は少し老けているのかもわかりません。三十五六の世馴れた男。頬から耳へかけて、小さいが真っ赤な痣のあるのが唯一の特色です。
「親分さん、とんだお邪魔をいたします」
「御所名前をおっしゃっらない方には、お目に掛らない――と申すほどの見識のあるあっしじゃございませんが――」
平次はまだ釈然としません。
「親分、お腹立は御尤もですが、名前を申上げられないわけがございます。――何を隠しましょう、私は、地獄から参ったものでございます――が」
挙げたのは傷だらけな凄まじい顔。
「えッ」
平次も思わずゾッとしました。ガラッ八などはもう、膝小僧を包んで、敷居際まで逃げ出しております。
「こう申すと突飛に聴こえますが、決して嘘や掛引で申すのではございません。私は一年前に人手に掛って殺され、――いや、身内の者も世間様も、私が死んだと思い込んでおりますが、実は思いも寄らぬ人に助けられて生き還り、自分を殺した奴に思い知らせたさに、変り果てた顔形を幸い、幽霊のように、江戸へ舞い戻った人間でございます」