Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
「それから」
「気の付いたのは、三日も後でございました。月に一度の大島通いの御用船が、三崎の沖で拾い上げて、まだ呼吸があるようだから可哀想に捨てもなるまいと、大島へ持って行って、漁師に世話を頼んで江戸へ帰ったそうでございます」
千之助の話は奇っ怪でしたが、決して拵え事とは思われません。
御用船に救われて、大島の漁師の介抱を受け、三日目に正気付きましたが、恐ろしい負傷で身動きもならず、その手当がざっと三月。その間に、月に一度の江戸通いの便船はありましたが、一度鏡を覗いて、自分の変り果てた顔を見た千之助は、本名を名乗ることも、しばらくは江戸へ帰ることも断念してしまったのでした。
光源氏のような横山町名物の若旦那が、なんという浅ましい姿になり果てたことでしょう。この変った姿で帰ったら、この月のうちには祝言をしようと言うことになっていた、許嫁のお新はどんなに驚き歎くことでしょう。
歎くだけならともかく、怖がって寄り付かないようになるのを、何より千之助は怖れたのでした。
達者になって江戸へ帰って、自分の眼でお新の顔を見て、その貞烈を見抜いた上でなければ、うっかり「千之助が生きている」