Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
とは名乗って出られない――、そう悲しくも思い定めて、四月、五月、半歳と、親切な島の人達の世話になりながら、身体も心も恢復するのを待ちました。
漁師や村人に礼を言って、再び御用船の厄介になり、江戸へ帰ったのは半歳前。
「私はもう一度隅田川へでも飛込もうと思いました。――あれほど恋い慕って、毎日毎日、大島の浜辺の砂に、その名を書き暮して来たお新は、――私が江の島で死んだと聞いてから三月目、まだ死骸も揚がらないのに、早くも見切りをつけて、小伝馬町の丸屋長次郎のところへ嫁入りしてしまったそうじゃございませんか」
「…………」
千之助の片眼が大きくうるんで、膝へポロリと涙のこぼれるのを、平次は見兼ねる様子で顔を反けました。
「祝言をしたわけでもなく、まだ許嫁の間ですから、それも決して無理とは思いません。たとえ、私が死んだ翌る日、他所へ縁付いても不思議はないわけですが、私にしてみれば、同じ破談にするにしても、せめて半歳待って貰って、この口から断りを言わして貰いたかったのでございます――まア、それも今となっては愚痴でございましょう。女は綺麗に諦めます、が――」
「…………」