Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
五
あんまり口惜しくて浮ばれないから、敵を討ってくれるように』と、涙ながらに言うんだがどうしたものでしょう」
平次の空々しさ。
「自分を突き落した敵が判らない――と幽霊が言うんで?」
「その通りですよ」
「おかしな幽霊じゃありませんか。あの世とやらへ行ったらそれくらいの事は判らないはずもなく、怨みを言う相手が判らないから、御上の御用を聞く親分衆のところへ出るというのも可怪しいじゃありませんか。よっぽどどうかした幽霊で」
吉五郎の弱そうな顔に生気が動いて、その眼は反抗と叡智に輝きます。
「お前さんも可怪しいと思いましたか。御主人」
と平次。
「ヘエ――」
「ところで、御新造に逢わして下さい。それから、番頭の要助さんに。――私が話をする前は、先代の事を言ってはなりませんよ」
「ヘエ」
吉五郎は疑惑と不満で一パイな心持で去りました。顔見合せた平次と八五郎。
「親分、怪談は驚いたネ」
「シーッ」
部屋の入口にはお辰が静かに立っておりました。
五
お辰は美しいが平凡な女で、兄の死については、積極的に何の考えもなく、成行きのままに吉五郎を婿に迎え、成行きのままにつつましく、生活を営んでいるといった肌合の人間でした。