Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
柱に掛けた手が滑ると、蔓を切られた大輪の朝顔のようにゆらりと落ちて、店の板敷に崩折れます。千之助があの傷だらけの顔で、真っ直ぐに帰って来るのを遠慮したのも無理はありません。これは美しい人達の多い神田日本橋かけても、比ぶべきものがあるまいと思うほどのきりょうです。
「親分、死んだはずの千之助が一年目で出て来るというのは変じゃございませんか。顔なんか昔の通りでしょうね」
と長次郎。
「いや、江の島で突き落された時やられたそうで、見る影もない顔だ。身内の者が見ても、おいそれとは判るまいよ」
「それじゃ偽首じゃありませんか、よくある術で」
「それも考えているが、間違いはない積りだ。いずれお前さん達とも顔を合せるだろう。気の毒な人だ。慰めてやるがいい」
「そりゃもう、子供の時からの仲好しですもの、及ぶだけ力にもなり、立つ身は立ててやりますが、女房を返せだけは断りますよ。あとで間違いのないように、今のうちに私の口から言っておきましょう――どこに居るんで?」
長次郎はどこまでも一本調子です。
「いや、それは困る。今顔を出させちゃぶちこわしだ。その話なら、私から言っておこう」