Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.062 Zeichen · 276 Bildschirme
三
お静は一本銅壺に落しながら、平次の顔をそっと覗きました。一緒になってからもう一年、こんなに屈托した顔を一度も見せたことのない夫だったのです。
いい加減世帯馴れたはずのお静ですが、初々しさはいつまでもこぼれて、何か言われたら、そのまま、笑いも泣きもしそうな、明けっ放しな表情の可愛らしさは、物思いがなかったら、引寄せたくなるでしょう。
「お上の御用には口を出さない方がいいよ」
「でも」
「この平次が強盗か強盗でないか、お前はよく知っているはずだ、安心しているがいい」
優しく言われると、ツイ涙ぐむお静だったのです。
三
「判りましたぜ、親分」
「八か?」
平次が顔を挙げたところへ、ガラッ八の八五郎は、猟犬のように飛込んで来ました。
「あれは大変な娘だ。噂の立った男だけでも三人や五人じゃありません」
「そうだろう」
「それが皆んな強盗ぐらいはやり兼ねない人間ばかりだから不思議じゃありませんか」
「何だと、八?」
「最初にお藤と噂のあった下廻り役者の中山半七郎、こいつはちょいと好い男で、横顔と後ろ姿は銭形の親分そっくりだ」
「馬鹿野郎」
「それから、軽業の芸人で、両国の小屋に居る古川一座の甚三郎、こいつは曲毬の名人で、投げ銭ぐらいはやり兼ねねえ」