Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
ほんとうの空襲のあい間には軍隊指揮のもとに救護演習も行なわれた。ある日の演習で、私らの教室に焼夷弾が命中し、消火をやっている最中さらに爆弾が落ちた。そこで私と山下の二人が爆弾のすぐ近くにいたために死んだ。二人は死がいとなって担架にのせられ、担架隊の学生に担がれて中庭の花園を通り、裏門の死体室へ運ばれた。ゆたりゆたり担架は揺れる。青空を見上げて私は目をあけていたが、ほんとうに死んでしまったあとのような心の落ち着きを感じた。二人を死体室へ運びこんでおいて担架隊はまだ続いている演習に参加するために、状況現示班員が赤旗や発煙筒をもってうろつく病棟へ帰っていった。死体室の中では、演習統監部が視察に来るのを予期しながら二人はひっそりと台の上にころがっていた。うっかり話しているのを外から聞きとがめられたら、こらっ、死がいがしゃべってもいいのかっ、と怒鳴られそうな気がして、じっといつまでも真剣に死がいになって動かずにいた。いつまでたっても統監部の将校は見に来なかった。待ちくたびれて私は大あくびをした。すると隣の台にころがされていた山下が、ぷっと吹き出した。二人は顔を見合わせてにたにた笑った。