Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
食欲もないから近ごろは滋養分のとり方も少なく、貧血はひどくなって、精根が続かない。仕事の最中にたびたび軽い脳貧血を起こしてぼうっとなってしまう。──こんな時にコーヒーがあったらなあ……どうしたのか、ふっとそう思った。コーヒーなんて数年このかた味わったこともないのに。
サイダーの静脈内注射はどうだろう? 頭に穴をあけて脳を薄荷水で洗ってみようか? それとも、心臓に液体酸素のボンベをつないで血管の中へ冷たい酸素を送ってやろうか?──
晴れやかな話し声が荒野をこちらへやって来た。顔を上げて待っていると、へちまだなの門をくぐって現われたのは、母の同盟の戸泉さんと日日新聞の荻原さんの一行だ。戸泉さんは、
「夏のサンタクロース!」
と言って私のまくらもとへ大きな紙包みをおいた。私は目をぱちくりさせるばかりだった。あけてごらんなさい、と言われて、あけてみると、大きなかんが出てきた。赤い字はすぐ私の目をとらえた。──コーヒー!
それには手紙が添えてあった。
「一九四七年八月二十三日、日本長崎港内にて、エス・エス・ジョージ・エルホエリー号より。長崎医科大学永井教授殿。
あなたは一ぱいのコーヒーを飲みたいのですってね。