Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
別に笑い声が多いというわけでもない。いな、むしろ怒鳴るやら子供が泣くやらで一日中騒々しいだけだが、怒鳴ったり、しかったり、すねたり、泣いたりしているさまが全体としていかにも幸福そうである。父親は時々雷のように怒鳴って幸福を感じ、母親は口やかましく子供をしかる中に幸福をおぼえ、子供は大声で泣きわめいているのが幸福なのである。
私は誠一を大村へやっているので、幼稚園へゆくカヤノとばあさんと三人暮らしだが、三人とも大声を出すことはない。カヤノは幼な心にもわがままをしては病人の私にすまぬと思っているものか、やんちゃも言わないし、少しくらい血が出ても黙って帰ってくる。私もどうかしたひょうしに、怒鳴りかけることもないではないが、怒鳴られたあとをやさしく教えてくれる母のおらぬ幼な子の心を思っては大きな声も出ない。
……あの日、妻の骨を墓に埋めた私は山の家へ避難中の子供をたずねて行ったのだった。板戸をあけて土間に入ったら、ちょうどそこに、誠一とカヤノとが、せみをつかまえて鳴かせていた。二人は血だらけの私を見て、後すざりをした。それから、私の顔をじっと見つめていたが、急いで、門口の方へ行って外をのぞいた。