Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
「口を開けば戦災者だと叫ぶ、原子爆弾にやられたんだと自慢顔に言う。──けんかに負けたことが何の自慢になります? 彼も人間我も同じ人間。知恵と努力が足らなかったから、原子爆弾でやられたのではないですか?」
「世界戦争の終止符となった爆心点という意味で内外人は毎日見物に来ている。しかしこの雑草荒るるがままの荒野は私ら浦上人にとって恥でこそあれ、誇りではないのです。浦上人が誇ることができるのは──」
秋月君はききょうの花を引きぬいてまじまじと見つめた。
「この雑草を刈り取って香り高い文化の都を建設した暁のことです」
私は目をつむって浦上を思うのであった。浦上──その名はキリシタン殉教の聖地として世界中に知れ渡っている。鎖国禁教令しかれて以来この村に血を流した殉教者の数はおびただしい。中にも竹中奉行による浦上の焼き打ちと明治維新政府による浦上信徒総流罪とは、ほとんどこの村中のキリシタンを全滅させたかに見えたが、浦上が宗教史上世界に有名なのは、その迫害にも負けず、たちまち教勢を盛りかえして固い信仰を公表し、大正年間に東洋第一の教会を自力をもって建てたことであった。