Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
かわいそうに──そばからとりつくろって、やさしく慰めてくれるお母さんがいらっしゃらないのですから。それを考えにいれて、やかましく鍛える一方のお父さんであってはいけませんわ」
それがきのうのことだった。
私のところで、レントゲン技術をおぼえたひとりの娘さんは原子禍で死んだが、その日記を見せてもらったことがある。その中にちょいちょい私のことが出て来る。
「部長先生の眼はこわい眼だ。じいっと真正面から見つめられると、頭の中まで透視されるような気になる。レントゲンで人体の内部を見抜いているうちに、あんな眼になったのだろう」
「朝、器械の掃除を終わって、さてテストしてみると高圧が入らない。スイッチをパチパチやってると部長先生が入ってきた。私のあわてるさまをひとしきり見ていたが、私の手からネジまわしを取ると、配電盤のケースをあけて、中の配線をじいっとしらべ、ややあって、私の手のひらにネジまわしをパシリと置き、そして一言も言わず、どたりどたりと隣の治療室へ行った。
そのあとで、私の眼から思わず涙が落ちた。くやしかった。なさけなかった。はがゆかった。負けるものかと思った。