Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
かわやに立って板戸をあけると、冬陽に映える赤光が目を奪って離さない。あれをこの庭さきに移し植えたら、荒涼たる情景がどんなに美しくなることだろう。夕方いわしの配給があったので、おろし大根にあの赤とうがらしをすりこんで添えて食ったら、とまた思い出した。なんとかして一房でも手に入れたいものだ。そう思ったら矢も盾もたまらなくなった。しかし私にも体面があるから、まさかとうがらし一房くださいと隣の娘に頭を下げて頼みにゆくわけには参らぬ。頭を下げずにうまくわが物にする手段はないか、といろいろ策略を練ってみた。小人閑居してろくなことは考えない。
さて、夕の祈りになる。今日犯した罪を天主の十戒や七つの罪源など一つ一つについて吟味してゆくうち、「第十、なんじ他人の所有物をみだりに望むなかれ」のところで、赤とうがらしに突き当たった。あれは忌むべき罪ではなかったのか?──赤とうがらしが欲しいとふっと思うのは人情だから仕方がないとしても、それをそれまでであっさり思い切ればよかったものを、なんとかして手に入れてやろうと、よからぬ策略をあれこれ考えたのはいけなかった。
他人の所有物をみだりに望んだために起こったいざこざは昔から多いものだ。