Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
──透視はすぐに終わって電灯がつく。透視台に立つ神官の骨もあらわにやせた肉体は絶壁に危うくかかる老松を思わせたが、梢にさがるさるおがせにも似た、白ひげに飲みこぼしたバリウムがべっとりついているのもわびしかった。老松は絶壁を下りてリノリウムに立つ、じゅばんを胸に抱いてあたためていた夫人は後からそれを心こまやかに着せる。私はそれを見ながら行末短い夫につかえる夫人の心を知った。
「いかがでしょうか?」神官はゆう然とたずねる。
「ええ……」私は口ごもる。
大学は真理を扱うところである。ここではうそをつかぬことになっている。けれども今、何事も知らず、ゆう然と羽織のひもを結んでいる老神官に対して私は何と言ったらよいであろうか? 羽織のえりを直しながら夫人の眼は、お願いでございます、お願いでございます、としきりに神官の肩ごしに私に呼びかけている。
「大したことはありませんでしょうな? 村医さんもそう申しましたが」神官は無邪気に聞く。
「まさか胃がんなんかじゃありますまいな?」
「ええ」やっと私は血路をひらく。「村医さんのご意見のとおりでございます」
「そうでしょう。村医さんの薬はよく合うようでございますから……」