Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
「へえ、あんなに言いかわした、このあっしを袖にして……ちくしょうッ!」
若い八百屋は、拳固の背中で悲憤の涙をぬぐっている。
「コレ、泣くな、みっともない。お前の話で、そのお町という女の気立てはよく読めた。そんな女は、思い切ってしまえ」
「ソ、その、思い切ることができねえので」
「ナアニ、お町以上の女房を見つけて、見返してやるつもりで、せっせとかせぐがいい。おれがおまえならそうする」
「エ? 先生があっしなら――」
と八百屋の青年は、急にいきいきと問い返した。泰軒先生はニッコリしながら、
「ウム、おれがおまえなら、そうするなア。金に眼のくれる女なら伊勢屋に負けねえ財産を作って、その女をくやしがらせてやる」
「よし!」
と八百屋は、歯がみをして、
「あっしも江戸ッ子だ。スッパリあきらめやした。あきらめて働きやす……へえ、かせぎやす」
「オオ、その気になってくれたら、わしも相談にのりがいがあったというものじゃ。サア、次ッ!」
「アノ、泰軒様――」
と、細い声を出したのが、前列にすわっている赤い手柄の丸髷だ。とんがり長屋にはめずらしい、色っぽい存在。
一と月ほど前に、吉原の年があけて、この二、三軒先の付木屋の息子といっしょになったばかりの、これでも花恥ずかしい花嫁さま。