Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
「いつもながら上様のおこころ配り、行きとどいたものじゃ。ありがたいかぎりじゃテ」
苦笑を浮かべてつぶやいた対馬守は、やがて、声をひそめて、
「そこで田丸、真のこけ猿じゃが――まだわからぬかの?」
「は、なにぶんどうも、偽物ばかり現われまして……いつどこで紛れて、何者の手に入りましたやら、とんと行方知れずにあいなり、まことに遺憾至極ながら、手前、勘考いたしまするに、こけ猿なるものは、もはや世にないのではないかと……」
「なに、もはや世にない?」
眼を怒らせた対馬守が、老家老を睨めつけたとき、
「オヤ、殿様、こちらでしたか。あら、このお爺さんは?」
伝法な女の声が、横手のふすまをあけて、このお上屋敷の主従対座の席へはいってきた。
人を人とも思わない言葉に、主水正がびっくりして見あげると、櫛巻お藤!……ということは、もとより田丸主水正は知らない。
椎たけ髱にお掻取り、玉虫色の口紅で、すっかり対馬守お側つきの奥女中の服装をしているが、言語つきや態度は、持ってうまれた尺取り横町のお藤姐御だ。
それが、くわえ楊枝でぶらりとはいってきて、殿様の横へべったりすわったんですから――いかさま妙な取りあわせ。