Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
「何を不吉なことを申す」
若侍は躍起になって、
「天人の羽衣よりも、もっと貴重な品ですぞ、隊長殿。こけ猿の壺に縄がついて、あの根あがり松の下枝に、ひっかかっておるではござらぬか。それが、さわやかな朝風に吹かれて、ブラーリ、ブラリ……」
「寝ぼけたな、貴様」
「夢にもこけ猿を忘れぬゆえに貴公、かわいそうに乱心めされて、さような幻影を見るようにあいなったか」
「こけ猿が松の木などに、ぶらさがっていてたまるものか」
「嘘だと思うなら、出て来て見るのがいちばんの早道だ」
一同はがやがや言いながらその発見者の若侍に付き従って、ゾロゾロ庭先へ立ちおりてみると、高大之進をはじめ、尚兵館の一同、イヤ、驚きました。
驚くわけです。
庭隅の築山のふもと、江戸家老田丸主水正が、何よりの自慢にしている一本松……。
その梢に、黒い西瓜のようにブラリとひっかかっているのは、紛れもないこけ猿の茶壺でございます。
ポカンと口をあけた高大之進、
「ああ、わが輩も、寝てもさめてもこけ猿、こけ猿と思ううちに、かような怪しの幻を見るようになったか」
とつぶやいて、思わず眼をこすったといいますが、それはそうでしょう。