Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
石炭殻がザクリ、ザクリと大きな音を立てた。
「だれだい」
「私」
ガラリと窓が開き、つや子が、
「お姉ちゃまあ」
と目を覗かせたそばに多計代の縞の羽織が見えた。
「保さんは?」
「フレイムのところでしきりに悲観しているわ、シクラメンが腐るって――」
つや子が、
「ね、お母ちゃま、いいでしょう? 大丈夫僕もういいのよ、ねえ、お母ちゃま!」
と云うのが聞えた。つや子は、兄ばかりの中にいて、自分のことを、僕、僕と云うのであった。
「駄目ですよ、また細谷さんを呼ぶようになりますよ」
「――なに駄々こねてるの」
「外へ出たいって云うのさ、まだ起きて二日にしきゃならないのに、外へなんか出るとまたすぐごほん、ごほんになってしまうのに――しようのない喘息やさん」
伸子は、ぶらぶらそこから女中部屋の横へ出た。障子が麗らかに開け放され、すぐ窓際に、女中が向い合いで縫物をしていた。二人ともうつむいて、焦茶地に黒く細かい絣の銘仙男物の着物と羽織を縫っている。それを見ると、伸子は制している感情が、その衣類に向って迸るような動揺を感じた。佃の着物であった。彼の帰る支度にそうやっていそいで縫っている。