Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

彼らは急に黙り、

「何か用かえ」

と訊かれた。そういう時、両親は、親というより夫婦として強く伸子に感じられ、悲しく疎外された感情が彼女をおそう。自然に現す道が塞がれたこの待ち遠しさで、伸子が独りいて佃を思うと、病的な熱さが心を苦しめるのであった。

やっと二日になった。その日は日曜日であった。

眼がさめると伸子は、ああもう今日一日だ! と思った。今日一日……今日一日……その一日が何と自分を疲らすであろう!……伸子は人に顔を見られたり、口をきいたりするのがいやであった。このまま寝ているところへ、佃が急に入って来てくれたら、どんなに嬉しかろう。

憂鬱なくらいの気分で、伸子は食事部屋へ出て行った。テーブルの上に一人前の食器が出ている。傍で多計代がカステラを切っていた。

「――お客さま?」

「たてつづけさ。――お休みでもこれだから、家にいらしちゃ何にもなりゃしないね……」

「そうそう」

と、多計代は急に、自分の前にある菓子折の包紙や水引をかきのけた。

「電報が来ていたよ」

「電報?」

「船からだろう。今そこにあったのに……」

伸子は俄に動悸を感じ、一緒になってその辺を探した。