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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

ほらほら」

多計代は、浴槽に浸っていた。ふざけ過ぎるつや子に、時々、

「そう騒いじゃ駄目ですよ」

と云いながら、伸子にぼつぼつ話す。佃の批評であった。先夜伸子の留守中、不快ないきさつがあってから、彼女は、彼に対する遠慮や最後の敬意を失ったように見えた。彼女が佃に向って、または彼について話す時には、定って軽侮や恩恵の意識のまじった、特別な調子ができた。彼女は、今も鬢櫛で、濡れた後れ毛をかきあげながら云った。

「まあいずれにせよ、人間というものは万全な者はないからね、互に許し合うとしても……私はあの人を見て、ますます疑問に思うようになったよ――三十――幾つかい? 五か六だろう――とにかくその年まで純潔でいたなんて――何だか」

伸子は、

「そっち向いて、そっち向いて」

とつや子に背なかを向けさせた。そして、苦々しげに云った。

「そんな話……今やめましょうよ」

多計代は上り湯を汲み出して、顔を洗いながら、手拭の合間から乱れた声で云った。

「――考えて見ると、お前も全く女らしい人だね、好いとなるとめくらだもの――二人いるところを見ても、痛々しいくらいお前の方が余計愛しているのが解るよ……それでよければ何よりだがね――」