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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

ある場所では雑誌の表紙にでも応用するのか、亜拉比亜人が槍を振って躍り上る黒馬に跨っている絵を、石版刷のようにはっきり写している中年の女がいる。伸子は、軽い昼飯を階下の喫茶店ですましあちこち歩き廻った。

もう帰ろうという時、彼女は急にあることを思いつきもう一遍階上へ引きかえした。しばらく迷ったあげく、番人に訊き、伸子は一つの人気ない陳列室に入った。そこは古代波斯の美術品や写本などの陳列室なのであった。

これまで、大ざっぱに土耳古系統の美術品として好んでいた精緻な唐草模様の銀細工、絨毯、碧と黒との釉薬の対照が比類なく美しい陶器などが、皆イラン人の製作であったのに伸子は驚いた。彼女は、特に、入って突当りの広い壁に懸っている装飾瓦に異常な懐しさと興味とを覚えた。貴人行楽の図で、花の咲き満ちた春の樹下に若い貴族の男女が語ってい、侍女が彼方から裳を春風に吹かれながら酒瓶を捧げて来る楽しげな構図だが、王女の下脹れた豊かな頬と云い、大どかな眉と云い、領巾をかついだ服の様子と云い、所謂天平時代の風俗そっくりであった。そればかりではない。一面に咲き乱れた花の愛らしい形から、樹木、飛んでいる鳥の形、しかもそれらを彩るたっぷりした釉薬の黄、紫、緑、碧の見覚えある配色に至るまで、寧楽朝の美術を回想させずには置かないものがある。