Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

ひそひそ声で、話対手かたがた一緒に縫物をしている近所の老婆に云った。

「そうよしか。……でもおとよさん、ほんとに若く見えるない、三十ちょいと出たぐらいで通るものなし、……又いい旦那様がすぐ見つかることよ」

祖母は、老年で震える指先に針を持ってめどを通しながら、年とった女の底意地わるさで、

「俺がおとよさんだったら、四十越して嫁さるなんぞ厭だなあ、今の者は年とっても一人でおられないかしらて……」

「ほんによ、……フフフフ」

伸子は、おとよさんが行先に不安を感じて、養老保険でもかけるように、結婚しようと焦っているのがはがゆくもあり、哀れでもあった。それを、目引き袖引きする、無知な年とった女どもにかこまれている彼女の境遇に同情を持った。彼女は祖母に、

「おばあさまは何としたってあのひと、一生仕合せに暮させることできやしないんだから、五月蠅くかれこれおっしゃらない方がいいわ、誰だって仕合せを見つけているんだからね」

すると、祖母は妙にひねくれて述懐し始めた。

「――おれなんぞ、本当に不仕合せな生れとでも云うんだろうなあ、若い時は若い時でお前のお祖父さんが事業事業で貧乏するし、年とりゃ年とったで、息子にまできらわれるし……お前に会うだけがおれあ楽しみなごんだ」