Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
きびしく空腹を感じる人間であった。食わずにはいられない人間であった。伸子は、自分は自分で、彼の横で、欲しいものを見出すか、拵えるかしなければならない立場に置かれた女であることを、知ったのであった。頼めば、夫は彼の分をわけてくれるだろう。しかし、伸子にそれは食えなかった。彼女は、もっと清潔なものを欲した。
伸子は、これまで自分の心にあったさまざまの思い違い、子供らしい夢想、あれがたった二年前と思えないほど若く、稚く、夢中であった自分の信頼などを思って泣いた。けれども、泣きつつ、人生の結局のいつわりなさというようなものが朧気ながら感じられ、伸子は新しい勇気を得た。消えるものはどしどし消えろ。のこるものならおのずから遺る。No sentimentalism. ――しかし、これまで自分が強いても描こうとしていた夫というものと、これは別れだ。
彼女は、一つ、夫をお客に置いても窮屈でないだけ広く、さっぱりした心の宮を建てたい、と思うようになった。自分に本当の生きる力があるならば、どうしてそれが建てられないと断言できよう! そして、自分の矛盾に自分で憫笑しながらも、伸子は、そうやってやって行くうちには、佃とて木の根っこではない、いつかは少しずつ変るまいものでもないと、希望を抱きなおすのであった。