Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
月半ばに、伸子は、思いがけずおとよさんの訪問を受けた。祖母がいよいよ隠居所へ来たので、その伴がてら上京したのであった。
「御隠居さんも是非いらっしゃりたいっておっしゃいましたけれど、今日はまだお疲れだし致しますからね――」
おとよさんは、物を云いながら、しげしげ伸子を見ていたが、急に、
「私、そうやって御元気にしていらっしゃるのを見ると、却ってお可哀そうで」
善良な、小皺の多い顔をさっと赧らめ、袂のかげで泣きだした。
「何でもよくおわかりの方々だのに、本当に、どうしてね。――私お話を伺って、何とも云えない気が致しましたよ」
伸子は、おとよさんの一途な歎きに、済まない極りわるい思いをした。彼女は、おとよさんを慰めるように、笑いさえ浮べて云った。
「大丈夫よ、あなたにまでそんなに涙なんか出されると、私困るわ。今に何とかなるから安心して頂戴」
「どうぞね、あなた、実の親子でいらっしゃって、そんなことってあるもんでございますか」
おとよさんは真心をこめて云った。
「それは、奥様から御覧になれば、佃さんにもいろいろ御不足はありましょうが、そのためにあなたまでね……御気性のしっかり遊ばした方ですから、御無理もないかもしれませんけれど……」