Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
それだけ佃の信用は救われただろうのに、伸子も同じようにずぼらで、いい気であったから、少し工合わるいなと思いつつ、持ち込んでしまったのだ。伸子は、母にその事を云われた時、愧しく、自分に腹立たしく感じながら、
「私も悪かったんだわ、それは……」
と云った。
「私が、いけないって、云うべきだったんだから」
「そりゃそうさ。だが、お前と佃さんとは十五も年が違うんだし、男なんだからね、一人前の。外であの人のすることを、一々お前が自分の責任にはしきれないから云うのさ」
俥は、そのとき、伸子の重くのろい自己反省にふさわしく、ゆっくりゆっくり、御所傍の暗い坂を登っていた。伸子は、心持に渋さの足らぬ、理想では颯爽とした生活態度を心がけつつ、実際事に当ると兎角ぐやぐやな自分を明らかに見た気がし、陰鬱であった。佃もぐうたら、自分もぐうたら。似た者夫婦。伸子は、自分らに忿然とした気になって、そんなことを考えつづけた。
がくん。急に梶棒が下り、伸子は、正気にかえった。俥夫に心づけをやって、門の鍵を下した。門燈と格子の外の灯が点いているだけで、家じゅう、隣近所、寝鎮まったけはいが、夜半の暗さの中に漲っている。