Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

「そう――そうです、窮屈だからな、特に日本ではね……全くそうです」

そんなことを話しているところへ、佃が帰って来た。伸子は玄関へ出た。

「横田さんが来ていらっしゃってよ」

「ああそう」

佃は、まっすぐ横田のいる部屋に入って行った。

「いらっしゃい」

「やあ――お留守に上っていました。いかがです? おいそがしいらしいですね」

佃は、深く椅子にかけ、上体を捩って片肱をかけ、椅子の背を抱えこむような恰好をした。

「いやどうも――相変らず貧乏暇なしで瘠せています――あなたはよく肥っておいでですね」

新しい茶を持って入って来た伸子には、その言葉が何だか角々して、相手を傷けるように感じられた。

「――じゃあ、あなたや私は得な性分でいいわけね……」

横田は声を出さず、はあと口を開いて上を向き、笑うような顔をした。つぎ穂ない沈黙が生じた。用談でも切り出さなければ、納まりがつかないようであった。横田は顔を顰めながら、懐をさぐって、原稿紙の畳んだのをとり出した。

「――若しお暇があったら、一寸お訊きして見ようと思ったんですがね――これ……」

「なんです――希臘語ですか」

「こんな風なことだろうと、見当はつけているんですが、どうも曖昧だから」