Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
自分達夫婦の、さっぱりしないいきさつの飛沫を、女中が受けているように思えた。
花鋏で、佃は、折れて枯れたまま下っていた松の小枝を剪ってから、薔薇の下のところへ来た。八つ手の下を潜って、横手から、彼は、咲かずに萎れた蕾を剪み始めた。伸子は黙って見ていた。佃は、だんだん鋏を入れ、伸子が、さっきから心をひかれて眺めていた、二輪の、半開の花をも剪ろうとした。
「あ、それはやめて下さらない。綺麗だから」
「こうやって置いてもじき駄目になりますよ。剪ってさしたらいいでしょう」
「でも、剪っちゃ、まわりの様子が違ってしまうから――いいんでしょう? そうして置いたって」
佃は、捕えたその枝を放さず、云った。
「永く花を置くと幹が痛むから剪ろうと思うだけですよ」
伸子は、言葉に出すと気障なようで、その二輪の黄がかった鮭肉色の薔薇が、その背景あってこそどのように風情に富んでいるか説明できなかった。
「本当に、そうやって咲いているといいのに!」
「じゃあ止めましょう――do as you please.」
ふてた顔で再び八つ手の下を潜って出てきながら呟いた。
「――こんな花! もっともっと綺麗だった時には見る人もなかった」