Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
伸子は、見たものからはある程度動かされていた。けれども、佃の云うことは、感傷的すぎて聴えた。考えていると、彼はますます、伸子を手ごと自分の方に引きよせながら、訴えるように云った。
「――本当に遠慮はいりません。こういうことになれば、私は、君からああいう話が出ていなくたって、自分のそばに置こうとは思わないから……ね」
伸子はなお、黙っていた。佃は長く伸子をみつめていたが、やがて、
「――ああ」
と吐息をつき、椅子の背に靠れた。彼は感慨に堪えぬように頭を揺った。
「到頭来たか……」
伸子には佃の云うことが、何かぴったり来なかった。病気は病気で別問題という気が、ひどくはっきりした、病気になったから去ってもよい――彼の提議には、何か矛盾した、悲壮感に駆られた気ぜわしさがあるように、伸子は感じた。
「――だって――そうせっついて考えるには及ばないじゃないの。第一、病気だって何なのか、まだきまりもしないのに――」
伸子は、却って彼を云いなだめようとするような余裕ある心持で、笑いさえ浮べた。
「あとであなたの思い違いだったって騒ぐようなことになったらどうなさること?」
「そんなことは決してない――私にはよくわかっています」