Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
とよは、
「ほらまた! 叱っ! 叱っ!」
と水の上で手を叩いた。
「なぜいじめるんだよ、可哀そうに」
伸子も手伝って、弱っている金魚だけ別にしようと、たもをさがしたが見当らなかった。
「こういうものは妙だね。こないだ夜、一匹犬が自動車に轢かれてキャンキャン鳴きながら逃げるのを、矢張り多勢ほかの犬が追っかけて咬みついたのを見たよ」
そんなことをしているうちに、伸子は、この間じゅう縁側に置いてあった筈の硝子壜が見えないのに気づいた。
「おや、あの壜どうした」
「どの壜でございます」
「あの、青いまんまるい――ほら、この間私が鋏で散髪してやった、円い藻の入っていたの」
三月ほど経つうちに、毬藻はだんだん青々した初めの色を失い、水を透して見ると、球状の周囲に、ホヤホヤ水あかのようなものが認められるようになった。この前、動坂から帰った時、伸子は、
「これはいけない、枯れ出した。一つ散髪をやって見よう」
と、とよに手伝わせ、藻の表面の老廃物を丁寧につんだ。
「これでございましたかしら」
とよがやがて、叱られる覚悟という風で、空っぽの、乾き切った壜を持ち出して来た。
「無いの? 藻は」