Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
親しい年の差の多い叔父姪のようないきさつで、極めて自然に彼が好きなのに、何だか警戒的にならざるを得なくなった。毬藻をくれた者と、それを棄てた者との、男の本能が、呑気に甘たれていた自分を挾んで暗黙のうちに対抗したのかと思うと、伸子は侘しく感じた。自分は、どっちにつく者でもないのに……。
妙に寒い日が続いた。伸子は腸の工合を悪くしたので、なお元気がなかった。仕事がちっともできず、彼女は、単衣の上から母の羽織を借着などし、家の中をうろついて暮した。
ある日伸子は珍しく、今日こそ、と意気ごんだ気持で床を出た。彼女は、紺絣の元禄袖の着物で、どたどた食堂に行った。珍しく両親がテーブルに向っていた。
「――お早うございます」
云いかける伸子に向って持った新聞と一緒に手を振り、多計代が空虚になったような声で云った。
「えらいことができたもんだね」
見ると、父も別の一枚を読みながら、いつにない表情でいる。伸子は、その肩越しに紙面を覗き込んだ。三段ぬきの大見出しが瞳に映ると、伸子は、頸から鳥肌立つような打撃を受けた。彼女は、そこに坐ってもう一枚を拡げ、一気に読んだ。読む字はわかるのだが、字面から来るものが多すぎ、理性から溢れるという心持であった。