Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
翌朝、東縁の雨戸をあけると、素子は、
「ほう! こんないい景色のところだったんですか」
と、驚きを新たにした。
「二度びっくりね、昨夜、実はどんなところへ来たことかと少し辟易していたんだけれど」
雷光と雨に洗われた後の清い闊やかな北国の空、遠く魅力ある連峰、左手に展望される丘陵の上の可愛い森、活々した美が伸子をも見惚れさせた。
「空気が何だか違うでしょう? ずいぶん爽やかで勁いようでしょう」
「F県にこんなところがあるとは思わなかった!」
「――私関西――京都ぐらいまでしか知らないけれど、あの辺の景色よりこっちの方がよっぽど好きよ。あなたは?」
「あっちは平凡ですよ――平凡な美しさだ」
祖母が出て来、しきりに、
「よく来て下すったない、田舎で何のおもてなしもできなくて恥かしいごんだ」
と繰り返した。伸子は、
「八十になってもまだああいう技巧は忘れないのね」
と素子に囁き、大笑いした。
黒っぽい紺地に緑や茶で古風な粗い格子縞のある膝掛が一枚、戸棚にあった。伸子はそれを庭の芝生に拡げた。二人はその上に腹這いにころがった。素子が膝掛の房の間から出ている草を抜き、自分の細いパイプの先にさし、吹矢のような遊びを発明した。