Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
十三日には、休戦条約修正案が公表された。ついで、大統領ウィルソンが平和会議のため仏蘭西へ渡航する計画に関するステートメントが、喧しい論議の種となった。
伸子は、ほとんど官能に訴えるような人間精神の戦ぎを感じた。一九一八年の冬は、民衆の心の上では春であった。人間の社会が失ったものを新しい内容と信念で持ちなおそうとした。過去の総決算をすませた社会は、深く疑い、強く建設し、少くとも世界をさらに住みよい合理的なところにしようとする熱意が、嘗てない現実性を帯びて湧き上って来たかのように見えた。伸子は、その刺戟を自分の胸に感じた。地平線に新たな光が閃き出した。その光は、どんな影響を自分の生活に与えるであろうか。……
最初、佃を佐々父娘の生活に導き入れた南波武二の捜索は、終にそれなり不成功に終ってしまった。けれども、いつの間にか佃は彼らにとって内輪の人となってそのことのあとにのこった。土地馴れてもいるので小さい便利が多く、佐々がちょいちょいしたことをその後も頼んだ。その用向きをもって、佃はほとんど一日置きぐらいにホテルに出入りする。佐々のいない時も屡々あった。