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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

本当に勇気のある人は温和だ。自分にも、どうかその温和の百分の一を授かり、佃と最後の会見をしたい。伸子はそう思いながら床についた。

翌朝早く佃から電話で、伸子は起された。

「赤坂からお電話」

という声をきくと、瞼がまだ開ききらない先、いやな心持が胸を掠めるのを感じた。気持を整える余裕を得るため、着物をなおし、板の間へ出て行った。

「もしもし」

いきなり、

「もしもし、いつ帰ります?」

と、急性な、喉の乾きついたような佃の声が鼓膜を刺戟した。

「――今日ジョンストンさんがいらっしゃるの、お茶に。――それがすんでから――」

「いそがしいんですか」

「――……」

「そんなにいそがしいなら、いつでもすきな時に帰っていらっしゃい」

ガチャンと受話機をかけた音がした。

伸子は眠りなおしもできず、そのまま起きた。一時間も経たないうち、また、赤坂から電話が来た。

「もしもし、伸子さんですか」

今度は佃でなく、佃の親しい友人の織田の低い平らな声であった。何と云ってよいか判らず黙っていた。

「いつ頃帰りますか」

「多分八時頃になるでしょうと思うけれど――あなた――そこにいらっしゃるの?」

「ええ、昨夜泊ったんです――ではどうぞ」