Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
精神の安静が大切ですから」
六日目ぐらいから、ほんの少しずつ、しかし、ぶりかえすことなく病人の熱は下降しはじめた。医師は、胸を打診し、舌を検べ、
「さあこれで今度こそ大丈夫です」
と確言した。
「もう峠は立派にこしましたから、後は予後ですが……」
衣裳棚の前に立っている佃の方を、時々好奇心をもって偸見るようにしながら、彼は云った。
「あなたのこんなのは謂わば麻疹の軽いのみたいなものでしてね、これですんだと油断すると、又ぶり返して却ってえらい目に会うことがあるものです。紐育の風は有名ですからな、どうもこれからは……」
十幾日ぶりで佐々が初めて次の間の長椅子まで起きて来た時、伸子は嬉しく、
「万歳! 万歳!」
と叫びながらそこいらを跳び廻った。
「御覧なさい、父様、私ずいぶんいい看護婦だったでしょう?」
「よしよし」
佐々は伸子の手を捉まえて自分のそばにかけさせた。
「さあもうお母さんのところへ手紙を書いてやってもいいぞ」
嬉しい。安心した。感極まった涙がはらはら伸子の頬を転がり落ちた。彼女は泣き笑いしながらめちゃめちゃに父の腕の下へ自分の頭を突っ込んだ。
佐々は手間どって恢復期を進んだ。