Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
「今、生憎ほかにお稽古の方が見えておりますのですよ、どんな御用ですか」
午後が暇なので招かれたと思っていた伸子はやや意外であった。
「今日は木曜日でしょう?」
「ええ確かに……」
「では、恐れ入りますが一寸ミス・プラットに私が来たとおっしゃって下さいませんか。お差し支えだったら、また出なおしてもかまいませんから」
入れ違いに日本の羽織を羽織ったミス・プラットがいそぎ足で出て来た。彼女は、伸子が何か云う時を与えず挨拶し、自分の居間に案内した。
「もう三十分ばかりですから失礼ですが待っていて下さるでしょう?」
彼女は書棚を覗いた。そしてオウスティンの普及版を一冊とり出して伸子にあてがった。
「これでも読んでいて下さい。では一寸御免なさいね」
ミス・プラットの部屋の二つの大窓から、大学構内の空地の一部と、大学総長の邸宅の側面が眺められた。長椅子や寝台の上には小綺麗な更紗や小蒲団があって、落着いてさっぱりした部屋の飾りとなっている。伸子は、揺椅子にかけ、あずけられた本を読み出した。
やがて廊下で別れを告げる声、こちらへ来るミス・プラットの衣擦れの音。
やっと二人の間で話が心持よく弾みかけると、また稽古の人が来た。