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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子は鎮まらない感動で、息づまったような低声を出した。

「聴えてよ――よく、かけて下さったこと」

「お一人ですか?」

「ええ」

「ついさっきまで会議があって、いそがしい思いをしました。――あまりひどい天気なので、――一寸どうしていらっしゃるかと思って……」

「有難う」

伸子の胸には再び、火の塊りのようなものがこみ上げた。できることなら一飛びに、彼の手許へころがりこみ、このがむしゃらな熱情を、同じように激しい燃える彼の手で捕え、締めつけて欲しい、――言葉に言えない感情で、伸子は送話口に額を圧しつけたまま黙ってしまった。

「もしもし」

「――なあに?」

「どうなさいました?」

「…………」

向う側にも情の深い沈黙が生じた。伸子は、夜の電線を伝わって、まざまざと迫って来る彼の心持を感じた。その感じは迫り迫って、二人を隔てる距離がまるでつまり、遂に、佃は、じき壁のあちら側まで来ているようにさえ思われた。やがて、先から云った。

「そろそろ時間になるかもしれませんね。――切りましょうか」

「そう?」

「ずっと部屋ですか? よくおやすみなさい。私は予定通り明後日帰ります」

「何時頃?」