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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

製作者の松本鯛六に逢って、何んとか話を聞いて見ようと思いましたが、下谷の辺に住んで居ると言う丈けで、誰もはっきりした所を知っては居りません。

其の内に、十二ヶ月人形の作者、宮川光遙から「あんな華魁の人形なんかを、無断で私の作の中に交えて置くのは怪しからん、その為に十二ヶ月人形に怪我があると言う話を聞くが、そんな馬鹿な事は、あるわけのものでは無いにしても、甚だ面白くない事だ。早速取り払って貰い度い――」と言う厳重な談判です。

思案に余った左衛門の長次、兎に角変化にしても妖怪にしても実現して見ないことには判りませんから、危いことを承知で或る晩ソッと小屋の中へ潜り込みました。

自分の家も同様の場所乍ら、妙にワクワクした、新米の小泥棒見たいな心持で、筵で張った粗末な桟敷の下から、丁度小紫人形のあたりを見るように陣取って、遅々たる夜の歩みを、生欠伸を噛み締め乍ら見詰めて居りました。

やがて子刻、上野の鐘が五月雨の空に籠って聞えて来ると、見馴れた場所柄とも思えぬ、不思議な不気味さが犇々と長次の身に迫ります。

舞台の正面、丁度自分の頭の上のあたりに、有明の籠行灯が一つ、すっかり灯心を引いて、僅かに物の形が見える程度にしたのが、高々と柱の上に掛けてあります。