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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

昔の名奉行大岡越前守は、辻の地蔵様をさえ縛らせた位ですから、それより後の遠山左衛門尉が、華魁人形を獄門にしたところで何んの不思議もありません。

調べも申し渡しも悉く正式、人形の口書? を取って、拇印まで捺させたと言うのですから、正気だか茶気だか、此の時の名奉行、遠山左衛門尉の心持ばかりは凡人にわかりません。

土壇場に据えて、人形の首を打ち落した時は、竹矢来の外の群衆は、ドッとばかり、歓呼とも悲鳴とも、わけのわからぬ声をあげました。時は天保十一年の五月十日、一代の名妓と謡われた小紫は、死んで一年目に人形に彫られて、その首を獄門台の上に曝されてしまったのです。其の晩獄門台に忍んで来た一人の男、番人の眼をかすめて、首尾よく人形の首を盗み取りましたが、追い詰められて九死一生と言う場合、品川の町外れの闇の中から出て、そっと救い出してくれた者があります。

案内されるままに、森蔭の庵室に入って、灯の下に顔を合せて見ると、助けた方は彫物師の松本鯛六、刑場から首を盗んだ男というのは、言う迄もなく上州屋佐吉の煩悩の姿です。

「重ね重ねの御恩、何んとも御礼の申し上げようはありません」