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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

鍵穴からもぐって出るか、高い二階の室から下の往来へ飛び降りるか――私の宅は、古い商家を今様に建て直した洋館で、大部分の部屋は三田の往来に面して、日光を採り入れるようになって居るのです――でなければ香水のように揮発して了うか、この三つの場合が想像されるだけですが、常識的に考えると、どれも本当らしい気がしません。二階から飛び降りた時、丁度下を徐行して居る自動車があってそのまま何んにも知らずに妙子の身体を運んで行ったのではないか、――そんな事を言う人もありますが、私はどうも信じられません。

巽九八郎が外から階子を掛けて窓からつれ出したのではあるまいか、その証拠には、銀座を二人で歩いてるのを見た人がある――と言う人もありますが、それも私は信ずる気になれません、噂の製造者というものは、思いの外尤もらしい証拠を提供したがるものですから、銀座を歩いて居たというのも、どうも信用する気にはなれないのです。

妙子は矢張り揮発してしまったのでしょう。甚だロマンチックな考えようですが、私は斯う信ずるのが一番無事なような気がしてならないのです。妙子は、あの馥郁たる体臭を持った妙子は、香水のように揮発した――それで宜いでは無いか――と。