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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

雇人達は大変な騒ぎ。

怪異と思ったのが人間で、しかも自分の家の奉公人では、相生総左衛門が黙って居るわけに行きません。鐘ごと突いた高蔵人も、何んか裏切られでもしたような心持。

「これこれ内密に調べることがある、お前達は皆んな遠慮するがいい」

総左衛門の声が掛ると、雇人小者達は悉く鐘楼を降りましたが、それでも燃えさかるような好奇心に、左まで遠くへも行かず、遠巻にしたままで下から眺めて居ります。

「確りしろ、これ、お前は厩番の綾吉に相違は無いか」

高蔵人は、差し寄って抱き起こしました。脇腹をえぐられて居りますから、傷は浅いが急所で、とても助かる見込はありません。

「ハイ」

「何んと言う事を仕出かしてくれたのだ、日頃目を掛けてやって居る主人に、恩を仇の振舞ではないか」

苦痛に打ち顫う綾吉の肩に手を掛けた主人の総左衛門は、今更乍ら愚痴めかしくなります。

「旦那様、この藤色の振袖に見覚えはありませんか」

「何?」

手負が不意に妙な事を言い出すので、総左衛門も思わずギョッとしました。朝陽を正面に浴びたところを見ると、染色も褪せ、地も摺り切れて、見るかげも無い振袖ですが、昔はどんなに美しかったろうと思われる品です。