Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
父の仕込んだ狂言の振りが、自然と姿に滲み込んでいて、中肉中身長の調った身体は、起居動作とも優雅である。顔や姿の美しさに、左内は捉えられたのであったが、親しく話し合うようになってからは、左内はお菊の心持ちに、より以上に捉えられた。父の嘉門が芸匠だからでもあろう、その血を受け継いでいるからでもあろう、お菊のおとなしい性質の中には、芸術的情操がふくまれていて、それがお菊の美しさと、清浄とを倍加しているのであった。
で、左内は入門をした時から、お菊に烈しい恋をしたが、しだいに日が経つにしたがって、恋心はますますつのるばかりであった。で、折りにふれ物につけて、今日までに左内は幾度ともなく、自分の悩ましい恋心をお菊に向かってほのめかしたのであったが、今日は思い切って、かなり率直に、重荷悪尉の面に例えて、恋心をお菊に訴えたのであった。
で、返辞を待っている。
お菊はなんといって答えるであろうか?
膝の上へつつましく両袖を揃えて、袂から紅色をのぞかせて伏し眼を使って指の先をみつめて、お菊はなんとも答えなかった。しかし心では感謝と苦痛と、恋の心とを渦巻かせていた。