Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

……よしよしこれから追っかけて行って、叩っ切って奉書を奪い取ってやろう」

で、庭から忍び出た。

徳大寺卿は知る由もない。亭に腰をかけて黙念としている。

と、二つの人影が、植え込みをくぐって現われて来た。

一人は美しい娘であって、一人は変面の小男であった。

「ああ参ったか、ご苦労ご苦労、用というのはほかでもない、今大切の巻き奉書を、青地清左衛門へつかわして、大先生へもたらせたが、道中のほどが心もとない。で、そのほうたち二人へ命ずる、それとなく清左衛門を警護するよう。なお江戸の地へ着いたならば、大先生の指揮の下に、何かと事を運ぶよう。これだけの用事だ、さあさあ行け」で、娘と小男とは、一礼をして立ち去ったが、後は徳大寺卿一人となった。「万端うまく行けばよいが」心にかかるようすである。

卯木の花が咲いている。石榴の花が咲いている。泉水に水禽でもいるのであろう、ハタ、ハタ、ハタと羽音がする。

「皇室の衰微もはなはだしい。王覇の差別もなくなってしまった。どうともして本道へ返さなければならない」徳大寺卿は微吟をした。

忠怠於宦成、病加於小愈。禍生於懈惰、孝衰於妻子。