Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
果然二人の行く先はわかった。例の佐久間町の二丁目の、不思議な老人の籠っている屋敷へ、見張りをするがために行くのであった。しばらく二人は沈黙をつづけて、先へ先へと歩いて行く。と、桃ノ井兵馬であるが、闇から月光の中へ出た。覆面をつけているがために、ハッキリとは顔はわからなかったが、一方の眼を白い布で、グルグルと包帯しているのが、黒い頭巾の間から洩れて、気味悪く月光に照らされて見えた。
「眼はどうだな? まだ痛むか?」
「はい」というと桃ノ井兵馬は、無意識のように片手を上げて、その包帯をした片眼をおさえた。「痛みは癒りましてござりますが……」
「視力のほうは恢復しないか」
「失明いたしましてござります」
「気の毒だな。気の毒に思う」すると兵馬は腰をかがめたが、「怨みが三重となりました」
「…………」美作には意味がわからなかったらしい。無言で闇から兵馬のほうをすかした。
「怨みが三重になりました」兵馬の声は顫えている。「主義の敵に親同士の怨みに、失明されました私自身の怨みに……」
「いかさま」――とそれを聞くと北条美作は、納得したように肩を揺すったが、「復讐の念も強まったであろう」