Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
抜けるような綺麗な頸足をして、冷つくような素足をして、臆面もなく客へ見せて、「おや、近来お見限りね」――はじめてのお客へ向かってさえ、こんなお世辞を振りまくのであった。
そういう建物にはさまれて、広々と延びている往来には、今や人が出盛っていた。勤番者らしい武士が行けば、房州出らしい下女も行く。職人も通れば折助も通る。宗匠らしい老人から、侠な鳶らしい若者も通る。ごった返しているのである。時刻からいえば夕暮れ近くで、カッと明るい日の光が、建物にも往来にもみなぎっている。その中で幟がハタハタとひらめき、その中で絵看板が毒々しく輝き、そうしてその中で太鼓の音が、オデデコオデデコと鳴っている。万事が明るく花やかで、そうして陽気で賑やかであった。そういう境地を縫いながら、二人の掏摸がすってまわる、そうしてそれを代官松が、笑いながらつけて歩いて行く。
「あ、またやったなあ、またはたいた。ずいぶん綺麗にはたくなあ。ああも綺麗に仕事をされると、俺といえども感心するよ」感心しながらつけて行く。が、その直後に代官松は、感心してばかりはいられないような、一つの事件にぶつかることになった。