Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
剣技の素晴らしいということも、以前から小次郎は聞いていた。が、どのくらい素晴らしいのか、それは今までは知らなかった。しかるに今や逢ったのである。剣技の素晴らしい一族の敵に! と、想像をしていたよりも、なんと恐ろしい敵なんだろう! 刀を抜こうにも抜くことができない。抜くとたんに隙ができるだろう。そこを一刀にやられるだろう。――で、小次郎は棒か杭のように、ただに立っているばかりであった。
両国の方面の霧の深かった空がしだいに紅色に染まって来た。水戸様石置き場の空屋敷が、焼き討ちのために焼けているからである。しだいに大火になるらしい。空の紅色が月の光を奪って、見る見るうちに濃くなって来た。
「兄上!」と小次郎は紋也のことを思った。「お身があぶない、お身があぶない!」
――心の隙といわなければなるまい! この息詰まるような闘争の間に、兄の安危へ心を移したのであるから。果然! 一刀真っ向へ来た! つづいて「ワッ」という悲鳴が起こって、小次郎の姿が地へ倒れたが、同時に刀光が地上五寸の、空間を横へ一流れした。
この凄惨!
しかし小次郎は切られたのではなくて、兵馬が切ってかかった時に、行動したというよりも無我夢中に、これもいい得べくんば反射運動的に、前方へ向かって飛び出して行き、兵馬の体へぶつかったところ、自分の力に自分が